サロンを運営する側としては、お客様に提供する技術の質を重視しがちですが、お客様の方は技術だけでなく、サロンスタッフの接客態度も重視しています。つまり、接客については、まだ十分に手を付けていない分野であり、改善の余地が大いにあるのです。
筆者自身も、サロンに通う立場として、接客の良し悪しが通うモチベーションに大きく影響することを実感しています。例えば、スタッフの言葉遣いが気になる、施術の方針や手順の説明が不十分、スタッフ同士の雑談が耳に入ってくる、施術中の声掛けや配慮が足りないなど、ちょっとしたことで「もう通うのはやめようかな」と思ってしまうことがあります。
逆に、今通っているサロンでは、そうしたストレスを一切感じません。スタッフの方が、お客様の立場に立って、丁寧かつ細やかな接客をしてくれるからです。具体的には、施術前にお客様の要望をしっかりとヒアリングし、施術の内容や手順を分かりやすく説明してくれます。施術中も、お客様の様子を見ながら、痛みや不快感がないか細やかに気遣ってくれます。
また、施術後のアフターケアや、ホームケアのアドバイスも手厚いです。
歯医者の接客から学ぶこと
接客の重要性を考える上で、歯医者の事例は参考になります。歯医者は、多くの人にとって「行きたくない場所」の代表格ですが、それは痛みや不安だけが理由ではありません。歯医者の接客態度が、患者のストレスを増幅させているケースが少なくないのです。
例えば、歯医者の言い方が上から目線で威圧的、治療方針の説明が不十分でよく分からない、医者と歯科衛生士の雑談が耳に入ってくる、治療中の声掛けや配慮が足りない、保険が効かない高額な治療ばかりを勧められる、などです。
しかし、中には患者目線で丁寧な接客をしてくれる歯医者さんもいます。そういう歯医者さんの下では、歯医者通いのストレスがグンと減ります。患者の立場に立ち、治療内容をわかりやすく説明してくれる、治療中の細やかな配慮がある、疑問や不安を聞きやすい雰囲気がある、スタッフの無駄な雑談がない、など。
こうした歯医者さんには、「この先生になら任せられる」という信頼が生まれ、リピートしたくなります。歯医者選びの基準は、治療技術の高さだけでなく、患者目線の接客があるかどうか、なのです。
サロンの接客を見直すポイント
サロンをされている方の多くは、接客についてすでに自分なりのスタイルが確立していると思います。しかし、それが本当にお客様の満足につながっているのか、リピートにつながっているのかは、自分だけの視点では分かりづらいものです。
大切なのは、お客様の立場に立って、自分の接客を客観的に見直してみること。お客様は、その接客を受けて「ちょっと違うな」と思えば、黙ってリピートを控えます。でも、「ここを改善したらもっと良くなりますよ」とは言ってくれません。
サロン側は、ついつい提供する技術の方に意識が向きがちですが、お客様が重視しているのは、お客様の立場に立った細やかな心配りがあるかどうか、なのです。
お客様目線の接客を心がけよう
では、具体的にどのような点を見直せばいいのでしょうか。
まずは、お客様をお迎えする時の第一印象から、お見送りするまでの全ての接客プロセスを、お客様の目線で見直してみましょう。
お客様をお迎えする時、温かみのある笑顔で挨拶できていますか?お客様の要望をしっかりとヒアリングできていますか?施術内容や手順、所要時間などを、分かりやすく説明できていますか?
施術中は、お客様の様子を見ながら、痛みや不快感がないか、细やかに気遣えていますか?施術の手順や進捗状況を、適宜お客様に伝えられていますか?
施術後は、今日の施術内容を振り返り、アフターケアのアドバイスができていますか?次回の予約や、お客様の質問にも丁寧に対応できていますか?最後のお見送りまで、笑顔が絶えずにいられていますか?
日頃当たり前にやっている接客のプロセスを、一つ一つお客様目線で見つめ直すことで、「もっとこうした方がいいな」という改善点が見えてくるはずです。
まとめ
サロンの売上アップとリピート増加のためには、お客様目線の接客がカギを握ります。サロン側は技術を重視しがちですが、お客様は、自分たちの立場に立ってくれる、細やかな心配りのある接客を望んでいます。
日頃当たり前にしている接客プロセスを、一つ一つお客様の視点で見直し、改善していくこと。それが、お客様のサロン選びの基準となり、リピート増加につながるのです。
お客様に選ばれ続けるサロンを目指して、スタッフ一同、お客様目線の接客を心がけていきましょう。
技術力の向上と合わせて、細やかな心配りを忘れない接客を実践することで、さらなる顧客満足と売上アップを実現できるはずです。