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こんな時に必要!履歴事項全部証明書の取得方法と提出シーンを解説

会社設立は、事業を始める上で最も重要な第一歩であり、その過程には数多くの手続きや書類作成が伴います。綿密な準備と正確な手続きが、今後の事業運営の基盤を築く上で不可欠です。 数ある書類の中でも特に重要なのが「履歴事項全部証明書」です。本記事では、この履歴事項全部証明書について、その概要、必要となる場面、取得方法、その他関連事項などを詳細に解説し、会社設立に関わる皆様にとって、実務に役立つ情報を提供することを目指します。

履歴事項全部証明書とは

履歴事項全部証明書は、会社に関する情報を網羅的に証明する重要な公的書類です。法務局に登記されている会社の情報を、交付請求日から3年前の年の1月1日以降の全ての情報を、正確に証明しています。 具体的には、法人番号、商号(会社名)、本店所在地、設立年月日、目的(事業内容)、資本金、役員名簿(代表取締役、取締役、監査役など、それぞれの氏名、住所、就任日など)、そしてこれらの事項の変更履歴なども詳細に記載されています。 いわば、会社の「履歴書」とも言うべき重要な書類であり、会社設立後、様々な場面で必要となるため、事前に取得しておけば、後々の手続きをスムーズに進めることが可能です。

##履歴事項全部証明書の主な記載事項##

# ##会社法人番号:## 国税庁より付与された、会社を特定するための13桁の番号。
# ##商号・変更履歴:## 会社名とその変更履歴。複数回会社名を変更している場合、その経緯が全て記載されます。
# ##本店所在地・変更履歴:## 本社所在地とその変更履歴。移転などを経ている場合は、全ての所在地と変更日が記載されます。
# ##設立年月日:## 会社の設立日。
# ##目的(事業内容):## 会社が営む事業内容。複数事業を営む場合は全て記載されます。
# ##資本金・資本金の変更履歴:## 設立時の資本金、増資や減資などによる変更履歴が全て記載されます。
# ##発行済株式数:## 発行済みの株式の総数。
# ##役員に関する事項(氏名、住所、就任日など)・変更履歴:## 代表取締役、取締役、監査役などの役員に関する全ての情報と、就任日、退任日、住所変更などの履歴。
# ##取締役会設置の有無:## 取締役会を設置しているかどうか。
# ##監査役設置の有無:## 監査役を設置しているかどうか。
# ##その他の登記記録:## 上記以外にも、合併、分割、組織変更など、会社の重要な出来事が登記されている場合は、その内容が記載されます。

履歴事項全部証明書が必要となる場面

履歴事項全部証明書は、会社設立後、多岐に渡る手続きにおいて提出が求められます。以下に代表的な場面を詳細に解説します。

##1. 法人設立後の各種届出##

会社設立後、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場などに対して、法人設立の届出を行う必要があります。 これらの届出には、多くの場合、履歴事項全部証明書が添付書類として必要です。ただし、税務署への設立届出の場合、定款の写しのみで済む場合が多いですが、管轄の税務署に事前に確認することをお勧めします。届出期限は、法人設立後2ヶ月以内と定められています。期限厳守を心がけましょう。

##2. 各種保険への加入##

従業員を雇用する際には、社会保険(健康保険、厚生年金保険)と労働保険(雇用保険、労災保険)への加入手続きが必須です。これらの保険への加入手続きには、会社を特定し、その情報を確認するために、履歴事項全部証明書が必要となります。社会保険は管轄の年金事務所、労働保険は労働基準監督署やハローワークで手続きを行います。

##3. 法人名義での契約##

事務所の賃貸契約、銀行口座開設、クレジットカード契約、その他各種契約を法人名義で行う際、相手方から履歴事項全部証明書の提出を求められるケースが数多くあります。契約締結前に、相手方へ必要書類を確認し、スムーズな手続きを進めましょう。特に、大サロンや金融機関との契約では、提出が必須となる可能性が高いです。

##4. 登記内容の変更##

会社の住所変更、役員変更、資本金変更など、登記事項に変更があった場合、法務局への変更登記が必要です。この変更登記手続きにも、変更後の情報を証明する履歴事項全部証明書の提出が求められます。

##5. 融資・助成金・補助金の申請##

金融機関からの融資や、国や地方自治体から支給される助成金・補助金の申請においても、履歴事項全部証明書は重要な提出書類の一つです。これらの申請では、財務状況を示す書類(貸借対照表、損益計算書など)や、定款の写しなども求められることが多いため、事前に申請要項をよく確認し、必要書類を全て準備しましょう。

##6. 許認可申請##

建設業、医療業、飲食業など、特定の業種を営むためには、事前に都道府県や市区町村などの行政機関への許認可申請が必要です。これらの申請にも、履歴事項全部証明書の提出が求められるケースが非常に多いです。 申請に必要な書類は業種によって大きく異なるため、事前に各機関のホームページを確認するか、直接問い合わせを行い、必要な書類を全て準備しておく必要があります。

##7. その他##

上記以外にも、M&A(合併・買収)や株式公開など、会社に関わる様々な場面で履歴事項全部証明書が求められる場合があります。

履歴事項全部証明書と登記簿謄本(登記事項証明書)の違い

登記簿謄本(登記事項証明書)は、履歴事項全部証明書、現在事項証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書の総称です。 つまり、履歴事項全部証明書は、登記簿謄本の種類の一つです。 それぞれの証明書には、記載内容が異なり、それぞれ必要となる場面も異なります。

証明書の種類 記載内容 必要となる場面の例
履歴事項全部証明書 交付請求日から3年前の年の1月1日以降のすべての登記事項 法人設立届出、各種保険加入、法人名義契約、融資申請など
現在事項証明書 交付請求日の時点で有効な登記事項 比較的最近の情報のみで済む場合(例:簡単な契約など)
閉鎖事項証明書 登記簿に記載されなくなった登記事項 過去の登記内容が必要な場合(例:過去の役員名簿など)
代表者事項証明書 会社の代表者がもつ代表権に関する登記事項のうち効力があるもの 代表権に関する事項を確認する必要がある場合

目的を明確にした上で、適切な証明書を選択することが重要です。

履歴事項全部証明書の取得方法

履歴事項全部証明書の取得方法は、大きく分けて以下の3種類があります。

##1. 法務局の窓口にて交付申請を行う##

会社所在地の管轄法務局だけでなく、全国の法務局で申請・取得可能です。申請には「登記事項証明書交付申請書」が必要で、法務局の窓口で入手できます。手数料は600円です。平日の9:00~17:00(時間帯は法務局によって異なる場合があります)まで受け付けており、土日祝日は休みです。

##2. 法務局に郵送で交付申請を行う##

郵送での申請も可能です。申請書に加え、600円の収入印紙と、返信用封筒(切手を貼付)が必要です。申請書は法務局のホームページからダウンロードできます。申請から数日後に郵送で証明書が送られてきます。

##3. 登記・供託オンライン申請システムで交付申請を行う##

法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用することで、インターネットを通じて申請できます。手数料は、窓口受取で500円、郵送受取で480円と、最も安価です。オンライン申請後、証明書の受け取りは法務局窓口または郵送を選択できます。

履歴事項全部証明書の取得にかかる費用

取得方法によって費用が異なります。

取得方法 費用 (円)
窓口 600
郵送 600
登記・供託オンライン申請システム(窓口) 500
登記・供託オンライン申請システム(郵送) 480

費用を抑えたい場合は、オンライン申請システムの利用がおすすめです。ただし、オンライン申請システムの利用には、事前に会員登録が必要になります。

まとめ

履歴事項全部証明書は、会社設立後の様々な場面で必要となる、極めて重要な書類です。その種類、必要となる場面、取得方法、費用などを理解し、適切なタイミングで取得することで、会社運営を円滑に進めることができます。不明な点があれば、法務局に問い合わせるなどして、正確な手続きを行うようにしましょう。 事前に必要な書類や手続きを十分に確認し、スムーズな会社設立・運営を目指してください。

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