整骨院・接骨院の経営は、保険(療養費)の対象が限られていることと、広告できる事項が法律で限定されていることの2つを前提に組み立てる必要があります。本記事では、整骨院への機器導入の実績があるメーカーとして、保険でできる範囲の整理、自費メニューの考え方、導入の手順と注意点をまとめます。
この記事の結論
柔道整復の療養費(健康保険)の対象は、骨折・脱臼・打撲・捻挫(肉ばなれを含む)で、単なる肩こりや筋肉疲労は対象外です。保険の範囲を正しく運用したうえで、保険外のニーズ(慢性的な不調のケア、姿勢、ボディライン、美容など)に自費メニューで応えるのが、整骨院の経営を安定させる基本です。自費メニューは既存の患者さんへの院内での案内から始め、看板・チラシでは症状や料金、機械名を表示しないなど、広告規制を守って運営します。
1. 保険(療養費)でできる範囲
柔道整復師の施術で健康保険(療養費)が使えるのは、次のケガに限られます。
| 対象になるもの | 対象にならないもの |
|---|---|
| ・骨折、脱臼(応急手当を除き、医師の同意が必要) ・打撲、捻挫(肉ばなれを含む) | ・単なる肩こり、筋肉疲労 ・慰安目的のマッサージ代わりの利用 ・病気(神経痛、リウマチ、五十肩、関節炎、ヘルニアなど)からくる痛み・こり ・症状の改善がみられない長期の施術 ・仕事中や通勤途上のケガ(労災の対象) |
出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「柔道整復師のかかり方」/厚生労働省「療養費の改定等について」
多くの整骨院は、患者さんが一部負担金だけを支払い、残りを施術所が保険者に請求する受領委任の仕組みで運用しています。療養費は定期的に改定され、部位ごとの算定や長期・頻回の施術の扱いも見直されてきました。保険の範囲を超えた請求はできないため、保険外のニーズにどう応えるかが経営の分かれ目になります。
※最新の算定基準は、厚生労働省の通知・各保険者の案内でご確認ください。
2. 自費メニューが必要になる理由
- 保険の対象外のニーズが院内にある:慢性的なこり、姿勢、産後の体形、ボディラインなど、「保険では対応できないが、相談したい」という声は既存の患者さんの中にあります
- 単価と時間を自分で設計できる:保険の施術は算定基準に沿いますが、自費メニューは施術時間と料金を院で決められます
- 通院が終わった後の関係を続けられる:ケガの施術が終わると来院も終わります。自費メニューがあれば、その後もケアで通い続けてもらえます
一方で、保険の施術と自費メニューを混同しないことが大前提です。同じ日に同じ部位で保険と自費を組み合わせる扱いや、会計・記録の分け方は、保険者や所管の窓口の考え方を確認して運用してください。
3. 整骨院で取り入れやすい自費メニュー
| 分野 | 例 | 整骨院との相性 |
|---|---|---|
| 手技・矯正系 | 姿勢のケア、骨盤まわりのケア、ストレッチ | 既存の技術を活かせる。機器投資が不要 |
| 機器を使うボディケア | 高周波(ラジオ波など)の機器を使ったボディケア | 手技と組み合わせやすく、施術者の負担を減らせる |
| フェイシャル・美容 | フェイシャルケア、小顔メニュー | 女性の患者さんが多い院で需要がある |
| 物販 | ホームケア用品、スキンケア | 施術の合間のケアとして案内できる(整骨院が物販に取り組むメリット) |
ハイパーナイフは、エステサロンだけでなく整骨院・接骨院でも導入されている業務用の高周波機器です。手技の前に体を温めてほぐす、ボディケアのメニューとして提供する、といった使い方ができます。導入費用や回収の考え方はハイパーナイフ導入の費用と回収、製品の詳細はハイパーナイフ製品ページをご覧ください。
4. 自費メニュー導入の手順
- 院内のニーズを確かめる:問診や会話の中で、保険の対象外の相談がどれくらいあるかを数えます
- メニューと料金を決める:施術時間、1回の料金、回数券の有無。ベッドとスタッフの空き時間に入れられるかを確認します
- 体験・研修:機器を使う場合は、実際に体験し、メーカーの研修を受けてから始めます
- 既存の患者さんに院内で案内する:院内の掲示、施術中の会話、終了時の案内。まずは月に数人の利用から始めます
- ウェブサイトで説明する:施術の流れ、料金、所要時間を正確に載せます。効果の断定や医療的な表現は避けます
- 記録して見直す:利用者数、継続率、1日の売上に占める割合を毎月確認します
5. 広告と表示の注意点
自費メニューを始めても、施術所の看板・チラシで広告できる事項は変わりません。
- 看板・チラシに「ダイエット」「痩身」「小顔」などの目的、料金、「無料体験」、機械名は表示できません
- 施術所の名称に「美容」「整体」「サロン」「リラクゼーション」などは入れられません
- ウェブサイトは2025年2月の厚生労働省の広告ガイドラインで規制の対象外とされましたが、虚偽・誇大な表現は避けます。SNSやバナー広告は規制の対象になり得ます
詳しくは整骨院の集客(広告規制の範囲でできること)、自費メニューの注意点は整骨院が美容メニューを導入する際に気をつけること、予約サイトについては整骨院はホットペッパービューティーに掲載できるのかをご覧ください。
6. 開業・経営で押さえておきたいこと
- 開業は届出制:施術所を開設したら、開設後10日以内に所在地の保健所に届け出ます(柔道整復師法第19条)。構造設備の基準(施術室の広さなど)もあります
- 受領委任の手続き:保険の取り扱いには、地方厚生局への申し出などの手続きが必要です
- 離患を防ぐ:ケガの施術が終わった後も、自費メニューや定期的なケアで関係を続けます(離患・離反を抑える戦略)
- 院長の時間を空ける:スタッフや機器に任せられる施術を増やし、院長は検査・説明・経営に時間を使います(成功している院長の3つの共通点)
よくある質問
Q. 整骨院で保険が使えるのはどんなときですか?
A. 骨折・脱臼・打撲・捻挫(肉ばなれを含む)の施術です。骨折・脱臼は応急手当を除き医師の同意が必要です。単なる肩こりや筋肉疲労は対象外です。
Q. 整骨院で自費メニューを始めるには何から手をつければいいですか?
A. まず既存の患者さんの中に保険の対象外の相談がどれくらいあるかを確かめ、院内での案内から始めるのが現実的です。いきなり外部に広告するより、院内で利用者を増やしながらメニューを整えます。
Q. 自費メニューをチラシで宣伝できますか?
A. 施術所の看板・チラシには、法律と告示で定められた事項しか表示できません。目的・料金・機械名などは表示できないため、自費メニューの案内は院内とウェブサイトが中心になります。
Q. 整骨院でハイパーナイフを導入している例はありますか?
A. あります。ハイパーナイフは整骨院・接骨院でも導入されています。手技と組み合わせたボディケアとして提供する使い方が一般的です。
Q. 整骨院の開業に許可は必要ですか?
A. 施術所の開設は許可制ではなく届出制で、開設後10日以内に所在地の保健所に届け出ます。構造設備の基準があるため、事前に保健所に相談しておくと安心です。
まとめ
整骨院の経営は、保険の範囲を正しく運用することと、保険外のニーズに自費メニューで応えることの両立です。自費メニューは院内の既存の患者さんへの案内から始め、広告規制を守りながらウェブサイトで正確に説明していく。この順番で進めれば、無理のない形で経営の柱を増やせます。
※本記事は2026年9月時点の公開情報にもとづく一般的な整理です。保険の取り扱いや広告の可否は、保険者・所管の保健所にご確認ください。
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