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レモンボトル施術の危険性とは?“未承認製剤”のリスク

美容クリニックやSNSで話題になっている「レモンボトル(Lemon Bottle)」。
「脂肪を溶かしてすっきりボディ」「天然成分で安全」「ダウンタイムが少ない」など、魅力的なキャッチコピーで注目を集めています。

しかし今、海外ではこのレモンボトルに対して複数の国の医薬品当局が警告を出しています。
日本でも医療関係者の間で「安全性が確認されていない」と懸念する声が高まっており、実際にトラブル報告も増えつつあります。

この記事では、レモンボトルの成分や日本での承認状況、報告されている副作用やリスクを詳しく解説します。
施術を受けようか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

レモンボトルとは?

レモンボトル(Lemon Bottle)は、脂肪を分解する目的で使用される注入型の美容製剤です。
成分には主に次のようなものが含まれるとされています。

ブロメライン:パイナップル由来のタンパク質分解酵素

レシチン:脂質代謝をサポートするリン脂質

リボフラビン(ビタミンB2):代謝を助けるビタミン

これらが「脂肪細胞を分解し、自然に体外へ排出させる」として販売・施術されているのです。
ただし、この“仕組み”については臨床的に有効性が証明されたデータは存在していません。

 

日本では承認されていない「未承認医薬品」

結論から言うと、レモンボトルは日本の厚生労働省で承認されていません。

つまり、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査を通っておらず、
「安全性・有効性・品質」が公的に確認されていない状態です。

日本では、医薬品として承認されていない製剤を体内に注入することは、
医師であっても“未承認薬の使用”に該当します。
また、エステサロンなど医師が常駐していない施設で行う場合は、
医師法違反(無資格医行為)になるおそれもあります。

 

エステで代わりにやるなら?

「どうしてもエステでケアしたい」「注射は怖い」という方には、以下のような痩身機器の施術が安心です。

  • ハイパーナイフ:高周波を利用して脂肪を温め、分解を促す

  • キャビテーション:超音波で脂肪細胞を刺激し、排出を助ける

  • ラジオ波:体を深部から温め、代謝や血流を促進

これらはすべて合法的にエステで提供できる施術であり、リスクも低め。
部分痩せや引き締めを目指す方におすすめです。

 

海外では複数の国が警告を発出

レモンボトルの安全性を疑問視する動きは、日本だけではありません。

スイス(Swissmedic)の警告

スイスの医薬品当局「Swissmedic」は、2024年に以下の警告を出しました。

“Lemon Bottleは医薬品に該当し、スイスでの販売・使用は承認されていません。製品の成分分析では、ラベル表示と異なる成分が含まれているケースが確認されました。”

つまり、成分の信頼性すら保証されていないということです。
Swissmedicは「オンラインで販売されているLemon Bottleは健康被害を起こす可能性がある」と明確に注意喚起を行っています。

フィンランド・ノルウェーでも同様の通達

北欧諸国の医薬品監督機関(Fimea・DMPなど)も、
「脂肪溶解を目的とした注入製剤は医薬品であり、化粧品ではない」として、
Lemon Bottleの販売・施術に警鐘を鳴らしています。

 

実際に報告されている副作用・トラブル

日本国内外で報告されている副作用やリスクは以下の通りです。

症状・トラブル 内容
赤み・腫れ・痛み 注入部位に炎症反応が起きるケース
内出血・しこり 脂肪分解が均一でない/注入技術の問題
感染・膿瘍 無菌管理が不十分な施術環境によるもの
皮膚壊死 強い炎症や血流障害によって皮膚組織が壊死
アレルギー反応 パイナップルや大豆アレルギー体質の人で反応が出ることも
発熱・倦怠感 炎症反応や成分の代謝による一時的な症状
成分不一致 表示と異なる化学成分が検出された報告もあり

これらは一部のケースですが、「医師がいない環境」で行われた施術ほど重症化しやすい傾向があります。

 

なぜ「未承認」だと危険なのか?

承認が取れていない製品には、以下のようなリスクがつきまといます。

成分の純度・濃度が保証されていない
→ 同じ製品名でもロットによって成分が違う可能性がある。

安全性データが公開されていない
→ 臨床試験が未実施、あるいは非公開。

副作用が体系的に把握されていない
→ 偶発的な被害が出ても追跡・報告体制がない。

販売経路が不明確
→ 並行輸入や個人輸入による偽造品リスクも。

特に、美容業界では「韓国で人気」「天然由来で安全」というキャッチコピーが多く見られますが、
それは日本の医薬品安全基準を満たしていることとは全く別の話です。

 

医師の見解とサロン施術の違法性

美容外科医の中でも、レモンボトル施術に対しては慎重な意見が多く見られます。

「“美容液”と称しても、皮下に注入する行為はれっきとした医療行為。医師以外が行えば違法。安全性の裏付けもないため、医療従事者の管理下以外で行うのは危険です。」

それにも関わらず、エステサロンなどでは“導入施術”と称して行うケースがあります。
しかし「注入」または「皮下導入(針・マシン使用)」を伴う場合、これは明確に医師法違反です。

 

安全な代替施術の選択肢

脂肪溶解や部分痩せを目的とする場合、以下のような厚労省承認済みまたは安全性が確立している医療施術が存在します。

カベリン(KABELLINE)
→ デオキシコール酸を主成分とする脂肪溶解注射。医師管理下で使用。

BNLS Ultimate / Neo
→ 植物由来成分を配合した注射。比較的マイルドな効果。

クールスカルプティング(脂肪冷却)
→ 医療機器として厚労省承認済み。非侵襲で安全性が高い。

エムスカルプト/テスラフォーマー
→ 筋肉刺激による脂肪燃焼を促す医療機器。

これらは医療機関でのみ受けられ、万が一の副作用にも即時対応できるという大きな違いがあります。

 

まとめ:承認が取れていない製剤は避けるのが賢明

レモンボトルはSNSで話題を集める一方で、
世界各国の当局が安全性に疑問を呈している製品でもあります。

日本で承認されていない=安全性・有効性・品質が確認されていない
ということを理解しておくことが大切です。

✅ 「承認が取れていない製剤は避ける」
✅ 「医師がいない環境での注入は違法行為」
✅ 「安易に“人気”や“韓国発”に飛びつかない」

美容医療は本来、信頼できる情報と専門知識に基づいて判断するものです。
見た目の変化や短期的な結果に惑わされず、自分の体を守る意識を持ちましょう。

 

参考文献・公式情報

Swissmedic Official Warning (スイス医薬品庁)

Tukes & Fimea Joint Statement (フィンランド医薬品庁)

The Guardian – Doctors question safety of Lemon Bottle

厚生労働省:医薬品医療機器総合機構(PMDA)データベース

 

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