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日本で1番売れているシャンプーは?売上ランキングから見える消費者トレンド2025年

日本のヘアケア市場は、世界でも有数の規模を誇り、消費者の髪質や頭皮への意識の高さから、多様な商品が展開されています。その中でも、シャンプーは日常的に使用される必需品として、各メーカーがしのぎを削る激戦区となっています。

では、実際に日本で最も売れているシャンプーは何なのでしょうか。ID-POSデータという購買ビッグデータを基にした最新の調査結果によると、「パンテーン エクストラダメージリペア シャンプー 詰替 特大 600ml」が売上ランキング1位を獲得しています。

この結果は、単なる売上データだけでなく、日本の消費者のニーズや購買行動の変化を反映した興味深い指標となっています。今回は、このランキング結果を詳しく分析しながら、日本のシャンプー市場の特徴や消費者の傾向について深く掘り下げていきます。

 

売上ランキングTOP10から見える市場動向

2025年3月から5月までの集計期間における売上ランキングを見ると、以下のような結果となっています。

順位 商品名 ブランド名 メーカー名
1位 パンテーン エクストラダメージリペア シャンプー 詰替 特大 600ml パンテーンエクストラダメージリペア P&G
2位 ラックス スーパーリッチシャイン ダメージリペア 補修シャンプー 詰替 560g ラックス ユニリーバ・ジャパン
3位 オクト シャンプー 320ml オクト ライオン
4位 ディアボーテ HIMAWARI オイルインシャンプー リッチ&リペア 詰替 400ml ディアボーテ クラシエ
5位 キュレル シャンプー 詰替 340ml キュレル 花王
6位 ツバキ プレミアム モイスト&リペア シャンプー 詰替 大容量 600ml ツバキ ファイントゥデイ
7位 マー&ミー ラッテ シャンプー 詰替 360ml マー&ミー ラッテ クラシエ
8位 メリット シャンプー 詰替 2個 メリット 花王
9位 エッセンシャル しっとりまとまる シャンプー 詰替 680ml エッセンシャル 花王
10位 ラックス スーパーリッチシャイン モイスチャー 保湿シャンプー 詰替 560g ラックス ユニリーバ・ジャパン

このランキングから、いくつかの重要な傾向が読み取れます。まず最も顕著なのは、上位10商品中9商品が詰替用商品であるという点です。これは日本の消費者の環境意識の高さと、経済性を重視する購買行動を如実に表しています。

 

詰替用商品が主流となった背景

詰替用商品の人気は、複数の要因が複合的に作用した結果です。第一に、環境への配慮という観点から、プラスチックごみの削減に対する意識が高まっていることが挙げられます。ボトル入り商品と比較して、詰替用パウチは使用するプラスチックの量が大幅に少なく、環境負荷の軽減に貢献します。

第二に、経済的なメリットも大きな要因です。詰替用商品は、同じ内容量でもボトル入りと比較して価格が安く設定されているケースが多く、家計への負担を軽減できます。特に、シャンプーのような日用消耗品では、この価格差が年間を通じて大きな節約につながります。

第三に、収納スペースの問題も影響しています。日本の住宅事情を考慮すると、詰替用パウチは保管時にかさばらず、ストック管理が容易という利点があります。

大容量タイプの需要増加

ランキングを見ると、「特大600ml」「詰替560g」「詰替680ml」など、大容量タイプの商品が上位を占めていることも特徴的です。これは、買い物頻度を減らしたいという消費者ニーズや、家族での使用を前提とした購買行動を反映しています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で定着した「まとめ買い」の習慣も、大容量商品の需要を後押ししていると考えられます。

 

パンテーンが1位を獲得した理由

売上ランキング1位となったパンテーン エクストラダメージリペア シャンプーの成功要因を分析すると、いくつかの重要なポイントが浮かび上がってきます。

ダメージケアへの高いニーズ

商品名に「エクストラダメージリペア」とあるように、この商品は髪のダメージ補修に特化したシャンプーです。日本の消費者は、カラーリングやパーマ、ヘアアイロンの使用など、髪にダメージを与える機会が多く、そのケアに対する意識が非常に高いことが知られています。

パンテーンは、この市場ニーズに的確に応え、科学的根拠に基づいたダメージケア成分を配合することで、消費者の信頼を獲得しています。特に、プロビタミン処方という独自の技術は、髪の内部まで浸透してダメージを補修するという明確な機能性を訴求しています。

ブランド力と認知度の高さ

P&Gのパンテーンは、日本市場において長年にわたって築き上げてきた強固なブランド力を持っています。テレビCMをはじめとした積極的なマーケティング活動により、幅広い年齢層に認知されており、「髪のダメージケアといえばパンテーン」というイメージが定着しています。

また、ドラッグストアやスーパーマーケットなど、あらゆる販売チャネルで入手可能な流通力も、売上を支える重要な要素となっています。

コストパフォーマンスの高さ

600mlという大容量でありながら、手頃な価格設定を実現していることも、多くの消費者に選ばれる理由の一つです。高機能でありながら、日常的に使い続けられる価格帯を維持することで、リピート購入を促進しています。

 

日本のシャンプー市場の特徴

ランキング結果を踏まえて、日本のシャンプー市場の特徴をより詳しく見ていきましょう。

多様なメーカーの共存

TOP10を見ると、P&G、ユニリーバ、ライオン、クラシエ、花王、ファイントゥデイと、6社のメーカーがランクインしています。これは、日本市場において特定のメーカーによる寡占ではなく、複数のメーカーが競争しながら共存している健全な市場環境を示しています。

各メーカーは、それぞれの強みを活かした商品開発を行い、差別化を図っています。例えば、花王はキュレルで敏感肌市場を、メリットでファミリー層を狙い、クラシエはディアボーテでオイルケア市場を、マー&ミーで親子向け市場を開拓しています。

機能性重視の商品開発

ランキング上位の商品名を見ると、「ダメージリペア」「補修」「オイルイン」「モイスト」など、具体的な機能を訴求する商品が多いことがわかります。これは、日本の消費者が単に髪を洗うだけでなく、髪質改善や特定の悩み解決を求めていることを反映しています。

特に注目すべきは、5位にランクインしたキュレルです。これは敏感肌向けの薬用シャンプーであり、頭皮トラブルに悩む消費者層の存在と、そのニーズの大きさを示しています。

ファミリー向け商品の根強い人気

7位のマー&ミー ラッテと8位のメリットは、いずれも家族で使えることを想定した商品です。特に「マー&ミー」は親子で使えることを明確に打ち出したブランドであり、子育て世代のニーズを捉えています。

「メリット」は長年愛されているロングセラー商品で、「リンスのいらない」という利便性も含めて、忙しい現代人のライフスタイルに適応しています。

 

消費者の購買行動の変化

シャンプー市場における消費者の購買行動は、時代とともに大きく変化してきています。現在のトレンドを分析すると、以下のような特徴が見られます。

成分への関心の高まり

近年、消費者の成分に対する意識が急速に高まっています。シリコンフリー、サルフェートフリー、パラベンフリーなど、「フリー」を訴求する商品が増加し、より自然で肌に優しい成分を求める傾向が強まっています。

ランキングには直接現れていませんが、市場全体を見ると、オーガニック系やボタニカル系のシャンプーも着実にシェアを伸ばしています。これは、健康志向の高まりと、肌や髪への負担を最小限に抑えたいという消費者ニーズの表れです。

パーソナライゼーションの進展

髪質や頭皮の状態は人それぞれ異なるため、より個人のニーズに合った商品を求める動きが加速しています。ダメージヘア用、くせ毛用、エイジングケア用など、細分化された悩みに対応する商品が増えています。

また、季節によってシャンプーを使い分ける、朝用と夜用で異なる商品を使うなど、使用シーンに応じた使い分けも一般的になってきています。

サステナビリティへの配慮

環境問題への関心の高まりとともに、サステナブルな商品選択をする消費者が増えています。詰替用商品の人気もその一環ですが、さらに進んで、リサイクル可能な容器、生分解性の高い成分、動物実験を行わない商品など、より広範な環境・社会配慮を求める声が強まっています。

一部のメーカーは、使用済み容器の回収・リサイクルプログラムを実施したり、カーボンニュートラルな製造プロセスを導入したりするなど、積極的な取り組みを始めています。

 

価格帯別の市場分析

日本のシャンプー市場は、価格帯によって大きく3つのセグメントに分けられます。

プレミアム価格帯(1,500円以上)

サロン専売品や高機能商品が中心となるこの価格帯は、髪質改善を本格的に求める消費者や、特別なケアを必要とする人々に支持されています。美容室での施術後のホームケア用として購入されることも多く、プロフェッショナル品質を家庭で実現したいというニーズに応えています。

ミドル価格帯(500円~1,500円)

ランキング上位の商品の多くがこの価格帯に属しています。品質と価格のバランスが良く、日常使いに適していることから、最も大きな市場規模を形成しています。大手メーカーの主力商品が集中しており、激しい競争が繰り広げられています。

エコノミー価格帯(500円以下)

プライベートブランドや業務用商品が中心となるこの価格帯は、コストを最優先する消費者に選ばれています。基本的な洗浄機能に特化し、余分な機能を省くことで低価格を実現しています。

 

地域による購買傾向の違い

日本国内でも、地域によってシャンプーの購買傾向には違いが見られます。都市部と地方、気候の違い、水質の違いなど、様々な要因が影響しています。

都市部の傾向

東京や大阪などの大都市圏では、新商品への関心が高く、トレンドに敏感な傾向があります。また、単身世帯が多いことから、小容量サイズの需要も一定程度存在します。一方で、収納スペースの問題から、大容量の詰替用を選ぶ世帯も多く見られます。

地方の傾向

地方では、定番商品への愛着が強く、長年同じブランドを使い続ける傾向があります。また、大家族が多い地域では、ファミリー向けの大容量商品が好まれます。買い物の頻度が都市部より少ないことから、まとめ買いをする傾向も強く見られます。

気候による影響

湿度の高い地域では、さっぱりとした使用感のシャンプーが好まれ、乾燥しやすい地域では、保湿力の高い商品が選ばれる傾向があります。また、紫外線の強い地域では、UVケア機能を持つシャンプーへの需要も見られます。

 

年齢層別の選択傾向

シャンプー選びは、年齢によっても大きく異なります。各世代の特徴的な選択傾向を見ていきましょう。

10代~20代

この世代は、SNSの影響を強く受け、話題の商品や見た目の可愛い商品に惹かれる傾向があります。香りを重視する人も多く、フローラル系やフルーティー系の香りが人気です。また、プチプラでも高機能な商品を求める傾向があり、コストパフォーマンスを重視します。

30代~40代

仕事や子育てに忙しいこの世代は、時短と機能性を両立した商品を求めます。マー&ミーのような親子で使える商品や、メリットのようなリンスインシャンプーが支持されるのも、この世代のニーズを反映しています。また、エイジングケアへの関心も高まり始める時期です。

50代以上

髪のボリューム低下や白髪など、エイジングによる悩みが顕在化するこの世代は、頭皮ケアや育毛効果を訴求する商品に関心を持ちます。また、長年使い慣れたブランドへの信頼も厚く、ブランドスイッチをしにくい傾向があります。

 

シャンプー選びのポイント

消費者がシャンプーを選ぶ際の判断基準は多岐にわたりますが、主要なポイントを整理すると以下のようになります。

髪質との相性

最も重要なのは、自分の髪質に合っているかどうかです。細い髪、太い髪、くせ毛、直毛など、髪質によって適したシャンプーは異なります。例えば、細い髪の人はボリュームアップ効果のある商品を、くせ毛の人はまとまりやすくする商品を選ぶ傾向があります。

頭皮の状態

頭皮が乾燥しやすい、脂っぽい、敏感であるなど、頭皮の状態も重要な選択基準です。キュレルのような敏感肌用商品がランキング入りしているのも、頭皮トラブルに悩む人が多いことを示しています。

使用感と香り

泡立ちの良さ、すすぎやすさ、洗い上がりのさっぱり感やしっとり感など、使用感も大切です。また、毎日使うものだけに、香りの好みも選択に大きく影響します。最近では、香りの持続性を重視する消費者も増えています。

価格とコストパフォーマンス

日用品であるシャンプーは、継続的に購入する必要があるため、価格は重要な要素です。ただし、単純に安いものを選ぶのではなく、品質と価格のバランスを考慮したコストパフォーマンスで判断する消費者が増えています。

 

今後の市場展望

日本のシャンプー市場は、今後どのような方向に進化していくのでしょうか。現在のトレンドと社会情勢を踏まえて、将来の展望を考察します。

パーソナライゼーションの更なる進化

AI技術の発展により、個人の髪質や頭皮状態を診断し、最適なシャンプーを提案するサービスが普及していくと予想されます。また、カスタマイズ可能なシャンプーや、季節や体調に応じて成分を調整できる商品なども登場する可能性があります。

サステナビリティの主流化

環境意識の高まりは今後も続き、リフィル可能な容器、固形シャンプー、濃縮タイプなど、環境負荷を最小限に抑えた商品が増加していくでしょう。また、原材料の調達から廃棄まで、製品ライフサイクル全体での環境配慮が求められるようになります。

機能性の高度化

科学技術の進歩により、これまで以上に高機能なシャンプーが開発されていくと考えられます。例えば、頭皮の常在菌バランスを整える商品、髪の内部構造を修復する商品、環境ストレスから髪を保護する商品など、より専門的な機能を持つ商品が登場するでしょう。

ウェルネス志向の強化

単に髪を洗うだけでなく、リラクゼーション効果やアロマテラピー効果など、心身の健康に貢献する商品への需要が高まっていくと予想されます。ストレス社会において、バスタイムを癒しの時間として活用したいというニーズに応える商品開発が進むでしょう。

 

まとめ

日本で最も売れているシャンプーはパンテーン エクストラダメージリペア シャンプー 詰替 特大 600mlであることが、最新のデータから明らかになりました。この結果は、日本の消費者が求める要素、すなわち高い機能性、経済性、環境配慮、利便性を全て満たした商品が支持されることを示しています。

また、ランキング全体を通じて、詰替用商品の圧倒的な人気、ダメージケアへの高いニーズ、大容量商品の需要など、日本市場特有の傾向も浮き彫りになりました。

シャンプー市場は、単なる洗浄用品の市場から、髪と頭皮の健康を総合的にケアする市場へと進化を続けています。消費者の意識の高まりとともに、メーカー各社も革新的な商品開発に取り組んでおり、今後もさらなる進化が期待されます。

私たちの日常に欠かせないシャンプー。その選択は、個人の価値観やライフスタイルを反映する鏡でもあります。環境への配慮、健康への意識、美への追求など、様々な要素が複雑に絡み合いながら、日本のシャンプー市場は今後も発展を続けていくことでしょう。

 

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