「カウンセリングシートには何を書いてもらえばいい?」「同意書は必要?」――エステサロンを開業するときや、新しいメニュー・機器を導入するときに、多くのオーナーが迷うのが初回の書類です。カウンセリングシートと同意書は、お客様の安全を守り、施術内容の認識違いによるトラブルを防ぐための書類です。本記事では、カウンセリングシートの項目例、同意書に書く内容、個人情報の扱い、運用のポイントをサロン経営者向けにまとめます。
この記事の結論
カウンセリングシートには、基本情報・来店の目的・健康状態(持病・妊娠・体内の医用電気機器など)・肌やアレルギーの状態・生活習慣を書いてもらいます。同意書には、施術の内容、起こりうる反応、施術を受けられない方、個人差があること、個人情報の扱いを書き、署名をもらいます。病歴などは個人情報保護法の要配慮個人情報にあたるため、取得には原則として本人の同意が必要です。使う機器の取扱説明書の禁忌を項目に反映し、来店のたびに体調を確認する流れをつくりましょう。
カウンセリングシートと同意書の違い
| 書類 | 目的 | 書いてもらうタイミング |
|---|---|---|
| カウンセリングシート | お客様の悩み・希望・健康状態を知り、施術してよいか、どのメニューが合うかを判断する | 初回の来店時(内容が変わったら更新) |
| 同意書 | 施術の内容や注意点を説明し、理解したうえで受けていただいたことを記録する | 初回の施術前、新しいメニュー・機器の施術前 |
| 契約書面(回数券・コース) | 料金・期間・解約条件など契約の内容を示す | 回数券・コースの契約時 |
同意書は施術についての書類で、回数券やコースの契約書面とは別のものです。期間が1か月を超え、金額が5万円を超えるエステの契約は特定商取引法の対象になり、決められた書面の交付が必要です(エステの回数券と特定商取引法)。
カウンセリングシートの項目例
基本情報
- 氏名・ふりがな、生年月日(年代)、連絡先
- 来店のきっかけ(予約サイト、SNS、紹介、Googleマップなど)
- 連絡の可否(LINE・メールでのお知らせを受け取るか)
来店のきっかけは、どの集客方法が効いているかを判断する材料になります(エステサロンの集客方法一覧)。
来店の目的・希望
- 気になっている部位・お悩み(チェック欄+自由記入)
- いつまでに、どうなりたいか(イベントの予定など)
- これまでに受けたエステや施術、ホームケアで使っているもの
- 施術の強さや会話の好み
健康状態(施術の可否を判断する項目)
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| ペースメーカーなど体内植込み型の医用電気機器の使用 | 電気を使う機器(EMSなど)が使えない |
| 心臓の病気、血圧の異常、てんかんなどの持病 | 機器や施術によっては控える、医師に確認する |
| 妊娠中・妊娠の可能性・授乳中 | 多くの機器・施術で対象外または注意が必要 |
| 治療中の病気、通院・服薬 | 主治医に確認してから施術する |
| 体内の金属(人工関節・ボルトなど) | 機器によって使えない部位がある |
| 最近の美容医療(注入・手術など) | 施術部位や時期を避ける必要がある |
肌・アレルギーの状態
- 肌質、敏感肌かどうか、いま肌荒れ・炎症・日焼けがあるか
- 化粧品・金属・植物などのアレルギー
- 過去に化粧品やエステで肌トラブルが起きたことがあるか
生活習慣
- 睡眠、食事、運動の習慣、水分のとり方
- 仕事の姿勢(立ち仕事・デスクワークなど)
生活習慣は施術の判断というより、ホームケアや通うペースを提案するための項目です。書く量が多いとお客様の負担になるため、必須の項目と任意の項目を分けておくと記入しやすくなります。
機器の禁忌を項目に反映する
業務用機器を使うメニューでは、その機器の取扱説明書に書かれている「使用できない方・部位」を、カウンセリングシートの健康状態の項目にそのまま反映します。禁忌は機器ごとに違うため、一般的なテンプレートを使う場合も、自分のサロンの機器に合わせて項目を足しましょう。EMSの例はEMSの禁忌と施術前チェックで詳しくまとめています。
ワムのハイパーナイフ、ハイパーウェーブ、ハイパーポレーションプロなどの業務用機器も、導入時に取扱説明書で使用できない方・部位をご確認いただき、カウンセリングの項目に反映していただくことをおすすめしています。
同意書に書く内容
- 施術の内容:メニュー名、使う機器・化粧品、施術の流れと所要時間
- 起こりうる反応:赤み、ほてり、筋肉の張りなど、施術や機器で起こりうる一時的な反応と、その場合の対応
- 施術を受けられない方:健康状態の項目に当てはまる方は施術できないこと、体調によって当日の施術を見合わせることがあること
- 効果には個人差があること:結果を保証するものではないこと
- 申告のお願い:健康状態に変化があったら申し出てもらうこと
- 個人情報の扱い:利用目的と、本人の同意なく第三者に提供しないこと
- 写真の扱い:施術前後の写真を撮る場合の利用範囲(カルテ用のみか、SNS・広告に使うか)
- 日付と署名:お客様の署名と、説明したスタッフの名前
同意書でも、サロンの責任はなくならない
「施術による一切の責任を負いません」のように、サロンの責任をすべて免除する書き方は、消費者契約法で無効とされるおそれがあります。同意書は説明した内容と、お客様が理解したことを記録する書類と考え、施術の安全管理そのものを徹底しましょう。万一に備えて、賠償責任保険への加入も検討します。
写真をSNS・広告に使う場合
施術前後の写真をSNSや広告に使う場合は、カルテ用とは別に、使う媒体と範囲(顔が写るか、加工の有無)を示して同意をもらいます。ビフォーアフター写真で効果を保証するような見せ方は、広告表現としても注意が必要です(エステサロンの広告表現ガイド)。
個人情報の扱い
病歴などの健康に関する情報は、個人情報保護法の要配慮個人情報にあたり、取得には原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(個人情報保護委員会のFAQ)。カウンセリングシートには、次の内容を明記しておくと安心です。
- 利用目的:施術の可否の判断、施術内容の提案、予約やお知らせの連絡など
- 同意欄:健康に関する情報を上記の目的で取得・利用することへの同意
- 保管の方法:紙は鍵のかかる場所に、電子データはパスワードとアクセス権限を設定して保管する
カルテの保管や電子化の方法はサロンの紙カルテは電子化すべき?、顧客管理の仕組みづくりはサロン顧客管理の完全ガイドをご覧ください。
運用のポイント
- 記入の前に目的を伝える:「安全に施術するために確認させてください」とひと言添えると、健康状態の項目も書いてもらいやすくなります
- 書いてもらったら口頭で確認する:空欄や「その他」の記入は、その場で聞き取ります
- 来店のたびに体調を確認する:2回目以降は、当日の体調・肌の状態・妊娠の可能性などを口頭で確認し、カルテに残します
- 定期的に更新する:半年〜1年ごと、または新しいメニュー・機器を受ける前に、健康状態を書き直してもらいます
- 判断の基準をスタッフで共有する:「この項目に当てはまったら施術しない/医師に確認する」を一覧にしておくと、誰が担当しても同じ判断ができます
よくある質問
Q. エステのカウンセリングシートには何を書いてもらえばいいですか?
A. 基本情報、来店の目的・希望、健康状態(持病・妊娠・体内の医用電気機器・服薬など)、肌やアレルギーの状態、生活習慣が基本です。使う機器の取扱説明書に書かれている禁忌も、健康状態の項目に反映しましょう。
Q. エステの同意書は必要ですか?
A. 法律で一律に義務づけられた書類ではありませんが、施術の内容や起こりうる反応、受けられない方を説明し、理解したうえで受けていただいたことを記録するために用意しておくのがおすすめです。新しいメニューや機器を導入したときも、施術前に同意をもらいます。
Q. 同意書があれば、トラブルが起きてもサロンは責任を負わなくていいですか?
A. いいえ。サロンの責任をすべて免除するような書き方は、消費者契約法で無効とされるおそれがあります。同意書は説明の記録と考え、安全管理を徹底したうえで、賠償責任保険への加入も検討しましょう。
Q. 健康状態を聞くとき、個人情報で注意することは?
A. 病歴などは要配慮個人情報にあたり、取得には原則として本人の同意が必要です。カウンセリングシートに利用目的と同意欄を設け、紙は鍵のかかる場所に、電子データはパスワードを設定して保管します。
Q. カウンセリングシートは毎回書いてもらうべきですか?
A. 詳しいシートは初回に書いてもらい、2回目以降は当日の体調を口頭で確認してカルテに残すのが一般的です。半年〜1年ごと、または新しいメニューを受ける前に、健康状態を更新してもらいましょう。
まとめ
カウンセリングシートは施術してよいかを判断するための書類、同意書は説明した内容と理解を記録するための書類です。健康状態の項目には使う機器の禁忌を反映し、健康に関する情報は要配慮個人情報として同意を得て保管します。書類を整えるだけでなく、来店のたびの体調確認と、スタッフで共有した判断基準で、お客様が安心して通えるサロンをつくっていきましょう。