ホットペッパービューティーの紹介文、Instagramの投稿、店頭のPOP、ビフォーアフター写真── エステサロンの集客には「効果」を伝える表現が欠かせません。しかし、表現を一歩間違えると景品表示法や薬機法などに抵触し、行政指導や信用の低下につながるおそれがあります。本記事では、サロンオーナーが押さえておきたい広告表現のルールと、言い換えの考え方を2026年版として整理します。
※本記事は2026年9月時点の公表情報をもとにした一般的な解説です。個別の表現が適法かどうかは、所管の行政機関や専門家にご確認ください。
この記事の結論
エステサロンの広告には、主に景品表示法(実際より著しく優れていると誤認させる表示、根拠のない効果表示、ステルスマーケティングの禁止)、薬機法(化粧品・健康食品・機器で医薬品や医療機器のような効果をうたわない)、医師法(医行為にあたる施術を提供・宣伝しない)、特定商取引法(コース契約の誇大広告の禁止)が関係します。「必ず痩せる」「脂肪を溶かす」「肩こりが治る」などの断定的・医療的な表現は避け、ビフォーアフターやお客様の声には施術条件と個人差を明記しましょう。
エステの広告に関係する主な法律
| 法律 | 主なポイント |
|---|---|
| 景品表示法 | 実際より著しく優良・有利と誤認させる表示の禁止。効果をうたう表示には合理的な根拠が必要。広告であることを隠すステルスマーケティングも2023年10月から規制対象 |
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 化粧品は認められた効能効果の範囲内で表現する。健康食品や雑品の機器で、病気の治療・予防などの効果をうたうことはできない |
| 医師法・医療法 | 脱毛行為等、アートメイク、HIFU施術などの医行為は医師以外が行えない。エステで「治療」をうたわない |
| 特定商取引法 | 期間1か月超・金額5万円超のエステ契約(特定継続的役務提供)について、誇大広告などを禁止 |
景品表示法のポイント
根拠のない効果表示は「不当表示」とみなされる
景品表示法には「不実証広告規制」があり、消費者庁から効果・性能の表示の根拠資料の提出を求められ、15日以内に合理的な根拠を示す資料を出せない場合は、不当表示とみなされます。根拠資料は、客観的に実証された内容で、かつ表示した効果と適切に対応している必要があります(消費者庁 景品表示法)。
ステルスマーケティングは違反
2023年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示(ステルスマーケティング)は景品表示法違反になりました(消費者庁のお知らせ)。インフルエンサーに無料施術を提供して投稿してもらう場合などは、広告であることを明示してもらいましょう。
「No.1」「今だけ」は根拠と事実が必要
「地域No.1」「満足度98%」などの表示には、調査の方法・時期・対象を示せる根拠が必要です。「今だけ」「残り3名」といった表示も、事実でなければ有利誤認のおそれがあります。
薬機法のポイント
- 化粧品:広告で表現できる効能効果の範囲が定められています。「シミが消える」「シワがなくなる」など、人体の構造や機能に作用するような表現は範囲を超えます。
- 健康食品・サプリメント:食品なので、「脂肪を分解する」「免疫力を高める」など医薬品のような効能効果はうたえません。
- エステ機器:医療機器として承認されていない機器で、病気の治療や症状の改善をうたうと、未承認の医療機器の広告として問題になるおそれがあります。
言い換えの考え方(例)
| 避けたい表現 | 問題になりやすい理由 | 言い換えの方向性 |
|---|---|---|
| 必ず痩せる/絶対に結果が出る | 効果の保証・断定 | 体のラインを整えることを目指すコースです(個人差があります) |
| 脂肪を溶かす/脂肪細胞を破壊する | 医療的な作用の標ぼう | 体を温めながら、気になる部位をほぐすケアです |
| 肩こり・腰痛・冷え性が治る | 病気・症状の治療の標ぼう | 温かく心地よい施術で、リラックスした時間を過ごせます |
| クリニック級/医療レベル | 医療と誤認させる | エステ専用の業務用機器を使った施術です |
| 1回で−5cm | 根拠と条件が不明確 | 表示する場合は、測定条件・対象・個人差を併記し、根拠資料を用意する |
| (化粧品で)シミが消える | 化粧品の効能効果の範囲外 | 肌を整え、うるおいを与えます |
※言い換え例は考え方の目安です。表現全体の文脈によって判断が変わるため、適法性を保証するものではありません。
ビフォーアフター写真・お客様の声の注意点
- 施術の条件を書く:施術内容、回数、期間、食事制限などの条件を明記します。
- 個人差を明記する:「効果には個人差があります」と表示します。ただし、この一文があれば何を載せてもよいわけではありません。
- 写真を加工しない:明るさや角度を揃え、ビフォーとアフターの撮影条件を同じにします。
- 例外的な結果を「普通」に見せない:特に良かった例だけを、誰でも同じ結果が出るように見せる表示は避けます。
- 口コミ投稿の依頼方法:割引などの見返りと引き換えに投稿を依頼する場合は、広告であることが分かるようにします。
ワムの導入事例ページでも、取材したサロン数(母数)を明示し、「成果はサロンごとに異なり、同様の結果を保証するものではない」旨を掲載しています(導入サロンの成果まとめ)。
メーカーの資料を使うときの注意
機器や化粧品のメーカーが作った資料やPOPでも、サロンが自店の広告として使えば、その表示の責任はサロンにも生じます。資料をそのまま転載する前に、上の考え方に照らして表現を確認しましょう。機器の選び方と安全性の考え方は業務用痩身機器の種類とおすすめの選び方(HIFUを勧めない理由を含む)で解説しています。
広告を出す前のチェックリスト
- 「必ず」「絶対」「治る」「溶かす」「医療」などの断定・医療的な言葉を使っていない
- 効果の数字には、根拠資料と条件(対象・期間・回数)がある
- ビフォーアフターに施術条件と個人差を明記している
- インフルエンサー投稿や口コミ依頼で、広告であることを隠していない
- 「No.1」「満足度」などの表示に、調査の根拠を示せる
- 化粧品・健康食品の説明が、認められた範囲を超えていない
- 医行為にあたる施術(脱毛行為等、アートメイク、HIFUなど)をメニューにしていない(エステの資格と法律上の線引き)
- コース契約の広告が誇大になっていない(エステの回数券と特定商取引法)
まとめ
エステサロンの広告では、景品表示法・薬機法・医師法・特定商取引法のルールを踏まえ、効果を断定せず、条件と個人差を正直に伝えることが基本です。誠実な表現は、行政上のリスクを下げるだけでなく、お客様からの信頼にもつながります。集客の媒体選びはホットペッパービューティーの掲載料と費用対効果も参考にしてください。